さまざまな演奏スタイルに適応可能なユニット鍵盤

研究内容

鍵盤楽器の歴史は古く,ピアノ,オルガン,アコーディオン,鍵盤ハーモニカなど目的や状況に応じて鍵盤数,段数な ど鍵盤構造が異なるさまざまな鍵盤楽器が提案されてきた.しかし,従来の電子鍵盤楽器は,鍵盤数固定の単一楽器 であったため,手軽さの問題や求められる鍵盤構造に柔軟に適応することが難しかった.そこで,本研究では オク ターブを基本単位とする鍵盤を組み合わせることでさまざまな鍵盤構造に適応できるユニット鍵盤 を構築する.また,鍵盤演奏における鍵の関係に関する特性を用いることで設定負荷を軽減する.さらに,このよう なユニット鍵盤の枠組みを利用したアプリケーションを提案する.

鍵盤の持ち運びの不便さを軽減する別のアプローチとして,1オクターブの鍵盤をレゴブロックのように上下左右に自由につなぎあわせることができるユニット鍵盤を紹介する.

このユニット鍵盤の四方にはコネクタを搭載しており,直接でもケーブルを利用してでも接続できる.例えば,2つのユニット鍵盤を水平方向に接続すれば2オクターブの鍵盤楽器(右図-a)となり,垂直方向に接続すればエレクトーン型の鍵盤楽器となる(右図-b).また,左右あるいは上下に鍵盤を連ねることができるだけでなく,ユニット鍵盤間に仮想の鍵盤を挿入し,スライダを動かすことで両サイドのユニット鍵盤の音域の差を1オクターブから4オクターブまで変化させることができる(右図-c).このように,ユニット鍵盤は「必要な鍵盤だけを持ち運ぶ」簡便さだけではなく,鍵盤の構成を自由に組み替えられるという利点ももつ.さらに,新規に接続したユニット鍵盤に対し,接続先のユニット盤と矛盾を起こさない音高や音色を自動的に設定する機能ももっているので,演奏の途中でユニット鍵盤を離したり繋げたりしながら音域の広い曲を演奏できる.

1オクターブごとに分離されている特性を活かし,キーボードの音域が不足したとき他の演奏者と貸し借りを行なったり,自律的に移動させたりをパフォーマンスとして見せられる.また,センサと連携できる特性を活かし,加速度や地磁気センサを用いれば鍵盤をもつ姿勢や向きによって鍵盤設定を変更できる.動きに関連付けた鍵盤操作は,難しい操作のできない子どもなどが楽器の設定ができるというだけでなく,マーチングバンドなど方位や演奏姿勢によって音色や音高を変化させエンターテイメントの要素としても活用できるのではないだろうか.

発表歴

  • 竹川佳成, 寺田 努, 西尾章治郎, “さまざまな演奏スタイルに適応可能な電子鍵盤楽器UnitKeyboardの設計と実装,” コンピュータソフトウェア(日本ソフトウェア科学会論文誌) インタラクティブソフトウェア特集, Vol. 26, No. 1, pp. 38–50 (2009年1月). PDF
  • Takegawa, Y., Terada, T., and Tsukamoto, T. “UnitKeyboard: An Easily Configurable Compact Clavier,” Proceeding of International Conference on New Interfaces for Musical Expression (NIME 2008), pp. 289–292, (June 2008). PDF
  • 竹川佳成, 寺田 努, 西尾章治郎, “UnitKeyboard: さまざまな演奏スタイルに適応可能な電子鍵盤楽器,” インタラクティブシステムとソフトウェアXIV: 日本ソフトウェア科学会 WISS2006, pp. 89–94 (2006年12月).