ピアノ学習支援システムにおける熟達化プロセスに関する調査

研究内容


楽器の演奏技術の向上には多大な時間や労力を必要とするため,敷居の高さに利用を断念したり,習熟効率の低さから挫折してしまう演奏者が多い.この問題を解決するために,筆者らの研究グループは,鍵盤上部に設置したプロジェクタを用いて鍵盤上や鍵盤の周囲に打鍵位置情報など演奏補助情報を投影するピアノ学習支援システムを構築してきた.評価実験から比較手法である「光る鍵盤」の学習方法と比較して課題曲を効率的に学習できることが明らかになったが,「課題曲を効率的に学習できただけか,あるいは,ピアノ演奏そのものの演奏技術が向上したのか」「必要とする提示情報は熟達度に応じて変化するのか」といった提案する学習支援システムを使用した場合における熟達化プロセスは十分調査できていなかった.そこで本研究では,この問題を解決するために,ピアノ学習支援システムの熟達化プロセスの詳細な調査を目的とする.評価実験では,提案する学習支援システムを使いながら5日間かけて6人の被験者に1日30分間課題曲を練習してもらい,実験日ごとの熟達度を調査するためにシステムの補助がない状態で課題曲を演奏してもらった.練習中に記録した打鍵データや視線データなどをもとに熟達化プロセスを検証した.

発表歴


  • 竹川佳成, 椿本弥生, 田柳恵美子, 平田圭二, “鍵盤上への演奏補助情報投影機能をもつピアノ学習支援システムにおける熟達化プロセスに関する調査,” インタラクティブシステムとソフトウェアXXI: 日本ソフトウェア科学会 WISS2013, pp. 55-60 (2013年12月).
  • Takegawa, Y., Tayanagi, E., Tsubakimoto, M., and Hirata, K., “Evaluation of a Piano Learning Support System Focusing on the Learning Process,” Proceeding of World Conference on Educational Media and Technology (EdMedia2013), pp. 2306–2314 (June 2013).