研究内容
楽器の演奏技術の向上には多大な時間を必要とするため,敷居の高さに演奏に取り組むことを最初から断念したり,ピアノ演奏の練習を途中で挫折してしまう演奏者が多い.鍵盤演奏の敷居を下げるために,光る鍵盤のように次に打鍵する鍵を鍵盤上に提示するなど打鍵位置を把握できる学習支援システムが提案されてきたが,学習者のミスに対して厳しく,学習者はミスをしないように細心の注意を払う一方,打鍵ミスが続くと次に進めないためフラストレーションがたまり練習へのモチベーションが下がってしまう.そこで,本研究では,モチベーションの維持を考慮したピアノ学習支援システムの構築をめざす.提案システムは学習者のモチベーションを維持させるために譜読みの認知プロセスに着目したミスの許容度を導入し,ミス許容度の異なる多段階のモードをもつ.提案システムの有用性を検証するために評価実験を行った.比較手法と比較してモチベーションを維持でき,かつ,正確な打鍵位置の学習に関して同等の学習効果を確認した.
発表歴
- 竹川佳成, 福家悠人, 柳 英克, “モチベーションを考慮したピアノ学習支援システム,” 情報処理学会論文誌, Vol. 57, No. 4, pp. 1193-1206 (2016年4月).
- Fukuya, Y., Takegawa, Y., Yanagi, H., “A Piano Learning Support System Considering Motivation,” Proceeding of International Computer Music Conference (ICMC2013), pp. 62–68 (Aug. 2013).