研究内容
本研究では,臨書初級者のための文字バランス学習支援システムの設計と実装を目的とする.書写において文字バランスの習得は重要であり,文字バランスの練習方法として,手本と見比べながら文字を書く臨書がある.しかし,手元の手本と実際に文字を書く半紙は離れているため,文字のバランスが適切であるかどうかは直観的に判断しにくい.そこで提案システムは,手本を表示したタブレット上に半紙を置き,学習者が手本をなぞる学習スタイルを採用する.半紙は薄い紙であるため,半紙越しにタブレットに表示されている手本を見られる.また,筆の一部に導電性テープを貼り付けることで,タブレットに触れている筆の位置をタブレットが正確に認識できる.この特性を活かし,学習者の習得度に応じて提示する手本の内容を手動で切り替えられる機能,学習者が書いた筆跡から文字バランスを採点する機能,採点結果を学習者に視覚的にフィードバックする機能といった学習効果を高める機能を提供する.専門家を被験者としたアンケート調査を実施することで,文字バランス採点アルゴリズムの妥当性を検証した.手本と見比べながら練習する従来の臨書練習法を比較手法として評価実験を実施した.提案手法は短時間で文字バランスを習得できることが分かり,提案手法の有用性を確認できた.
ムービー
発表歴
- 竹川佳成, 平田圭二, “臨書初級者のための文字バランス学習支援システムの設計と実装,” 情報処理学会論文誌, Vol. 57, No. 8, pp. 1861–1870 (2016年8月).
- Nonami, J., Takegawa, Y., “Construction of a Support System for Learning Character Balance in Transcription for Beginners,” Proceeding of IEEE Global Conference on Consumer Electronics (GCCE2014), pp. 26–30 (Oct. 2014).
- 竹川佳成, 野波淳里, “鍵盤上への演奏補助情報投影機能をもつピアノ学習支援システムにおける熟達化プロセスに関する調査,” インタラクティブシステムとソフトウェアXXII: 日本ソフトウェア科学会 WISS2014, pp.1–6 (2014年12月).