本番演奏におけるテンポ制御のための心拍情報提示

研究内容


演奏者にとって本番環境で,普段の実力を発揮することは大きな目標の 1 つである.本番環境においては,普段の環境との違いなどにより演奏者は緊張や興奮してしまい,これが打鍵・運指ミスなど演奏のクオリティ低下につながる.しかし,セミプロフェッショナルやアマチュアなどの演奏者にとって,本番で緊張や興奮を正しく自覚し,制御することは難しい.特に,本番演奏におけるテンポが普段のテンポと異なることは,普段ミスしない箇所での打鍵ミスや運指ミスなどの原因となり,本番での演奏テンポは重要な要素であるといえる.そこで本研究では,演奏テンポに注目し,緊張状態や興奮状態にある演奏者の演奏テンポを制御する手法を提案する.一般に,演奏者が緊張・興奮状態に陥った状態を平常の状態に回復させることは難しいため,本研究では,演奏者の緊張・興奮状態を示す指標である心拍データを提示する.それによって演奏者に現状の緊張・興奮状態を知覚させ,テンポ制御の必要性を促すことで演奏テンポを平常時のテンポに近づける.提案手法の有用性を評価するために,提案手法と平常時のテンポを本番演奏直前に聞かせるという比較手法およびテンポ制御を行わないテンポ非制御手法を比較した.その結果,提案手法は比較手法やテンポ非制御手法と比べて演奏テンポを制御できていたということがわかった.

発表歴


  • 鈴木大互, 竹川佳成, 寺田 努, 塚本昌彦, “本番演奏におけるテンポ制御のための心拍情報提示システムの構築,” 情報処理学会研究報告, Vol.2012-MUS-96 , No. 17, pp. 1–8 (2012年8月).
  • Suzuki, D., Takegawa, Y., T., Terada, T., and Tsukamoto, M., “A Heart Rate Presentation System for Keeping Music Tempo in Live Performance,” Proceeding of IEEE Global Conference on Consumer Electronics (GCCE2013), pp. 177–181 (Oct. 2013).