研究内容
ドラムセットはさまざまな打楽器の組合せから構成されるが,個々の打楽器は大きく重いため,持ち運びが不便であったり,設置に広いスペースを必要としたりする.一方,モーションセンサを搭載したドラムスティックを用いて空間上の仮想打面を叩打することで擬似的にドラム演奏を行う仮想ドラムは,高い可搬性を持つが,叩打時のフィードバックがなく演奏しにくかったり,演奏法や音色が再現できないことから,実ドラムに慣れているドラム演奏者が仮想ドラムを使う場合,演奏性や表現力が著しく低下するため満足のいく演奏をすることは難しい.本研究で提案するAirstic Drumは実ドラムと仮想ドラムを統合することで,高い可搬性と演奏性を実現する.Airstic Drumは仮想ドラムの叩打と識別したときのみ,仮想ドラムに割り当てた音色の音を出力することで,仮想ドラムと実ドラムの利点をあわせ持つドラムを実現する.本研究では仮想ドラムと実ドラムの叩打動作を加速度および角速度の特徴量から識別することにより両者の統合を可能にした.また,プロトタイプを開発し,ドラム演奏者による実運用を行い,システムの有用性を検証した.
デモムービー
発表歴
- 菅家浩之, 竹川佳成, 寺田 努, 塚本昌彦, “Airstic Drum:実ドラムと仮想ドラムを統合するためのドラムスティックの構築,” 情報処理学会論文誌, Vol. 54, No. 4, pp. 1393–1401 (2013年4月).
- Kanke, H., Takegawa, Y., T., Terada, T., and Tsukamoto, M., “Airstic Drum: A Drumstick for Integration of Real and Virtual Drums,” Proceeding of ACM SIGCHI International Conference on Advances in Computer Entertainment Technology (ACE2012), pp. 57–69 (Nov. 2012).